王国の忠実なる執事、ただいま一時帰省の任にて王宮を留守にいたしております。
王国の時は日々流れゆけど、あられ姫のご様子を直接お伺いできぬこと、誠に寂しく、心穏やかならぬものでございます。
かような折、王国の秘術たる「御前通話(ビデオ通信)」にて、姫との謁見の機会を得ましたこと、何よりの僥倖と存じます。

画面の向こうに現れたのは、紛れもなく我が主君、あられ姫。
もふもふたる御姿、変わらぬ気高さ、そして──舌を少しだけ覗かせるという、愛らしき御表情。
そのお姿を拝し、執事は思わず膝をつき、拝礼せずにはおれませなんだ。
会話は言葉少なながら、姫のまばたき、耳の動き、そしてあの「ちらり舌」こそが、何より雄弁に姫のご機嫌を物語っておりました。
そして、いつものように姫はふわりと寝そべり、画面越しにこちらをじっと見つめられるご様子。
その穏やかなまなざしに、執事は言葉を忘れ、ただただ心を満たされるばかりでございます。

本来、姫の御前においては無礼のないよう正装と礼節をもって謁見すべきところ、画面越しゆえにやや緩慢な身なりでの拝謁となったこと、まことに心苦しく……。
次なる謁見の折には、必ずや正装にて、あられ姫に再会の誠を尽くす所存にございます。
帰省の間もこうして姫のお姿を拝見できること──これぞ執事冥利に尽きるというものでしょう。
あられ姫が王宮にて健やかにお過ごしであること、そして執事との距離にも変わらぬご信頼をお寄せくださっていること、深く安堵しつつ──
この麗しき御前通話の一幕を、王家の記録としてここに謹んで記し奉ります。
──忠実なる執事より