あられ姫、もふもふの戦ののち、ご安息

忠義なる執事長より、王家の日常にして輝かしき一幕を記録いたします。

本日、もふもふ王国の御殿奥より、軽やかな足音と共に届いてまいりましたのは、
姫君ふたりの取組、すなわち「もふもふ戦(せん)」の始まりでございました。

長姉・あられ姫と、妹君・ひな姫。
王国随一の気品と敏捷さを誇る姫君同士による取組は、
いつにも増して華やかで、時に激しく、時に微笑ましく、
城内の空気までも弾けさせるほどの活気に満ちておりました。

フローリングの上、あられ姫はしなやかなる身のこなしにて応戦され、
ひな姫はふわふわの腹毛を武器にごろりと転がり、遊びの戦場は歓声に包まれました。
その姿は、まるで宮廷舞踏のごとき躍動、愛らしさと気高さが同居するものでございます。

しかし、戦に終わりはございます。
やがて体力を使い果たされた姫は、ひとたび「撤収」のご判断をくだされ、
お気に入りの「お城」――あられ姫専用の布製ドーム寝室へと悠然とご移動なさいました。

柄も柔らかく、内装もあたたかにして、まさに姫のためだけに築かれし私室。
中にお入りになるやいなや、姫はふわりと前足をそろえ、
小さく息をつきながら、ご満悦の表情を浮かべられました。

「ふふ、やっぱりここが落ち着くの」とでもおっしゃるかのように、
丸く開いた出入り口から外を眺めつつ、姫はまどろみの世界へ。

外の陽はほどよく差し込み、ドームの中には柔らかな影と香り。
遊びのあとの静けさが、まるで祝福のように姫を包んでおりました。

そのご様子を記録するたび、臣下としての誇りと感謝の念が胸に広がります。
戦いも休息も、どちらも気高く、どちらも愛らしく。
あられ姫の一日には、王国の平和と繁栄のすべてが詰まっております。


── Tales from the Fluffy Kingdom
忠実なる執事長より

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