忠義なる執事長より、王家に伝わる麗しき一幕を謹んで記録いたします。
朝の光が王国をやわらかに照らすころ、我が足元に、しとやかな気配が近づいてまいりました。
静けさの中にふわりと音もなく現れたのは、ノルウェージャンフォレストキャット・ひな姫。
今日もまた、姫は甘えの儀をお示しになるご様子でございます。

姫は、ことのほか甘えたいご心情の折、執事の歩みに合わせてその後をそっとついてこられます。
まるで影のように、すぐ傍らを離れず、柔らかな足取りでひたひたとついてこられるそのご様子は、
威厳ある王家の者が、信を寄せる臣にのみ見せる高貴なる仕草にございます。
やがて、姫は目的の地を定めるかのようにぴたりと立ち止まり、
次の瞬間、ごろりと腹を見せて床に寝そべられました。
そのしなやかなる長い身体を優雅に伸ばし、ふわふわのお腹をほんのり見せられるご様子は、
あまりの愛らしさに、王国民の胸をそっとくすぐるような可憐さに満ちておりました。

姫の目線はまっすぐに執事を見上げておられ、
その瞳には「撫でるがよい」とのお許しがやわらかに込められておりました。
我が手がそっと腹元に触れるや、姫はもぞもぞと身をくねらせ、
ご機嫌な鼻声で小さく鳴かれながら、さらなる撫でを促されるのでございます。

ひな姫は決して誰にでも甘えを見せられるお方ではございません。
その無防備なるお姿は、信頼と親愛の証にして、
王家に伝わる「選ばれし者への寵愛」の象徴でもございます。
甘えの儀の最中、姫の耳は微かに動き、白い胸元の飾毛は光を受けてやわらかく揺れ、
まるで絵巻物の一場面のような気高さと美しさに包まれておりました。
執事の手が腹元を撫でるたび、姫のしっぽが床を優しくたたき、
そのご機嫌を物語っていたのでございます。
ひとしきり甘えられたのち、姫は静かに身を起こされ、
ゆったりと毛づくろいを始められました。
まるで、「今のことはご内密に」とでもおっしゃるような涼やかなご表情に、
執事は思わず深く頭を垂れ、敬愛の念を新たにするのでございました。
甘えの儀は、姫にとって単なる仕草ではございません。
それは、王家に連なる者としての慈しみと、信頼の証を示す神聖なるひととき。
わたくし忠義の執事長は、この麗しき儀式の記録を、王国の宝としてここに記し奉ります。
── Tales from the Fluffy Kingdom
忠実なる執事長より