ひな姫、あられ姫の玉座を征す

忠義なる執事長より、王国姉妹の静謐なる一幕を謹んでご報告申し上げます。

本日は、もふもふ王国の玉座――すなわち、あられ姫専用にしつらえられた桃色の寝台にて、
王国のもう一柱、ひな姫の思いがけぬご様子を拝見することとなりました。
もともとこの寝台は、あられ姫の御身体にあつらえられた、ふかふかの御座所。
外見は淡く愛らしい桃色にして、その中には二層構造のクッションが配されております。
上段の丸いクッションがふわりと浮き、その下には秘密の洞のような空間が。

ひな姫がその洞へと静かに身を沈められていたのは、昼下がりの陽が緩やかに差し込む頃のことでございます。
姫は何の迷いもなく、あられ姫の寝台へと歩み寄り、ふわりとその奥へと潜り込まれました。


ふかふかのピンクの天井が、姫の御身を優しく包み、まるで雲の下にたたずむかのような情景。
緑の敷布の上に優雅に身を横たえ、まどろむひな姫のそのご尊顔は、
まさに王国の安寧を象徴するものでありました。

執事たる私がそっと覗き見れば、ひな姫は気配を察して微かに目を細め、
それでも身を動かすことなく、安らぎのなかにすべてを委ねておられました。
やがて手を差し出し、顎元を撫でさせていただくと、姫は目を閉じ、
「ここ、気に入ったの……。」とでもおっしゃるかのような、

穏やかで慈しみに満ちたご表情を浮かべられました。

興味深いのは、この御座がもともとあられ姫の玉座として、日々使用されている点でございます。
にもかかわらず、姫の姿はそこになく、咎めもなければ争いもございません。
すなわちこれは、姉君・あられ姫のご寛容、ならびに妹君・ひな姫との深き信頼がなせる和の象徴にほかなりません。

王家の姫君が、互いの領域を侵さず、また強く主張もなさらず、
自然な流れの中で共に生きる――
この光景こそ、もふもふ王国における「調和の精神」の結晶にございます。

かような静かなる儀式が、言葉少なくも深き意味を湛え、
民の心に安寧をもたらすことを、我ら臣下は忘れてはなりません。


── Tales from the Fluffy Kingdom
忠実なる執事長より

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