あられ姫、夏散歩の疲れにて、執事の膝という安息の宮殿へ

夏の陽射しが王宮を包む昨今、あられ姫におかれましては日々の御散歩にて、その小さきお身体に暑さの重荷を背負われておりました。本日もまた、夕刻の涼を求めて王宮周辺の散策へお出かけになられましたが、戻られたお姿は、いつもの快活さに疲労の色が混じっておられるご様子でございました。

王宮にお戻りになったあられ姫は、やがて執事の膝の上へとそっとお上がりになられました。その時のお姿といえば、まるで羽毛のような淡いクリーム色の御毛が、暑さゆえにふんわりと広がり、小さな鼻先からは安らかな寝息が漏れ聞こえてまいります。青き魚模様の御衣装に包まれたその御姿は、まさに海の涼を纏われた夏の女神のごとくでございました。

姫は執事の膝の上にて、その小さな御頭をそっと横におもたせになり、両の瞼をゆったりと閉じられました。ポメラニアンならではの愛らしき丸いお顔は、疲労とともに深い安堵の表情を浮かべておられ、その寝顔の美しさに、執事は身じろぎひとつせず、姫の安息を守り続けたのでございます。

特に印象深きは、姫の御毛の質感でございます。夏の暑さにもかかわらず、その豊かなる被毛は絹のように滑らかで、光を受けて金色に輝いておりました。執事の膝の上にお体を預けられたその重みは、まさに信頼の証。小さな肉球も力を抜かれ、全身でくつろぎを表現されるその姿は、王家の血を引く者の気品と、無邪気さが見事に調和した、この上なく貴重な光景でございました。

夏の散歩は、あられ姫にとって試練でもあり、楽しみでもございます。暑さに負けじと小さな足で歩まれるその勇敢さと、帰宅後に見せられる無防備なお休み姿──この対比こそが、姫の魅力の真髄でございましょう。

執事の膝という特等席にて、世界で最も安全で快適な場所を見つけられた姫。その寝息ひとつひとつに、一日の疲れと満足が込められており、王宮に静寂と平和をもたらしてくださるのでございます。

このような麗しき午後のひととき、姫の安らかなお休み姿を通じて、夏の疲れも愛おしきものに変えてしまう、あられ姫の不思議な魔力を改めて実感いたします。王国の民もまた、このような平穏なる瞬間にこそ、真の幸せを見出すことでございましょう。

夏が続く限り、執事は姫の安息の守護者として、この膝上の玉座をお守りし続ける所存でございます。

── Tales from the Fluffy Kingdom
忠実なる執事長より

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